2024.02.16
【連載】果物でおいしく健康に♪ ~第4弾『梅』~
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このコーナーでは、和歌山県が誇る果物に含まれる栄養についてご紹介します。
第4弾は日本の伝統食材『梅』です。
梅は1300年前から食物や薬として珍重されてきた歴史があり、現在でも梅干しをはじめ、梅酒や梅ジュース、
梅酢、梅エキス、ねり梅といった様々な加工品に利用されています。
◯梅の産地
和歌山県は日本一の梅の生産量を誇り、国内シェア60%以上を占めています。
高級ブランドとして知られる品種『南高』の発祥の地であるみなべ町や田辺市を中心に、県内で広く栽培されています。
また、梅の産地では2月頃に山一面が梅の花で覆われる絶景が見られ、南部梅林や紀州石神田辺梅林などでは毎年この時期に多くの観光客が訪れます。
◯梅の栄養成分
梅の加工品には、クエン酸やカリウム、βカロテン、オレアノール酸等の有機酸、シリンガレシノール等のポリフェノールが含まれています。
<クエン酸>
ドロドロ血液の原因である酸性を中和させ、血液をサラサラにします。また、強い殺菌力があるため、黄色ブドウ球菌や病原性大腸菌(O-157)の増殖を抑制することで食中毒を予防するほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制します。他にも、糖の燃焼を促進し、疲労物質である乳酸の生成抑制や分解促進作用があるため、疲労回復効果があります。さらに、カルシウムや鉄の吸収促進作用があり、骨粗しょう症や貧血の予防効果があります。
【機能性表示食品】
和歌山県では、令和5年12月現在、梅加工食品として7商品(4事業者)が機能性表示食品として消費者庁に届出が受理されています。
<梅ポリフェノール(UP、梅PP、梅酢ポリフェノール)>
梅果実には様々なポリフェノールが含まれており、主にヒドロキシ桂皮酸の誘導体で構成されています。これらを総称し梅ポリフェノールと呼ばれています。梅ポリフェノールには新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等への抗ウイルス作用のほか、抗菌作用があることが示されています。さらに、抗酸化作用、血圧低下作用、消化管機能改善、抗炎症、脂質代謝改善、疲労回復、食後血糖値低下、防カビなどの効果も報告されています。
<カリウム>
体液の浸透圧を調整して一定に保つ働きがあります。ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。
<βカロテン>
植物に含まれる黄色やオレンジ色の色素成分で、体内ではビタミン A として働きます。抗酸化作用があります。
<バニリン>
紀州産梅干しに含まれる成分「バニリン」には、ダイエット効果が期待できることが発表されています。脂肪細胞の培養細胞を使った実験結果では、紀州産梅干しには脂肪細胞に刺激を与える作用があることが分かっており、梅干しを焼いて食べると効率よく摂取することができます。また、バニリンのほか梅に含まれるシリンガ酸、プロトカテクアルデヒド、リオニレシノール、p-クマル酸がアレルギー反応に関与する肥満細胞の脱顆粒を抑制することから、アレルギー症状の予防・改善の効果が示されています。
<オレアノール酸>
α-グルコシダーゼの活性を抑えることにより糖質の消化吸収を穏やかにします。食後の急激な血糖値上昇を抑える効果があることについて、α-グルコシダーゼ阻害剤として、みなべ町が特許を取得しています(特許第4403457号)。
<シリンガレシノール>
胃に障害を及ぼすピロリ菌の活動を抑制する働きがあることについて、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の運動能阻害剤としてみなべ町が特許を取得しています(特許第4081678号)。
詳細はこちら(「和歌山県産食材機能性ガイド(第三版)」)
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/071700/kinousei/d00156528_d/fil/202210kinouseiguide.pdf
わかやまの南高梅についてはこちら
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/071700/d00206983_d/fil/wakayamanoume.pdf