2023.12.21
【連載】第2弾『栗料理』:栗の渋皮煮をおいしく堪能
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第2弾は、栗料理です。和歌山県海南市のとある農園で収穫させて頂いた栗を使い、栗料理を作ってみました。人気の栗料理と言えば、栗ご飯、栗饅頭、焼栗、モンブラン…などをイメージされる方が多いと思います。
今回、皆さんに栗の郷土料理を知ってもらうため、日常ではあまり食べる機会の少ない栗の渋皮煮に挑戦してみました。
栗の渋皮煮は、昔高価であった砂糖を沢山使用するため、日常での料理というよりもお祭りやお祝い事の際に食される贅沢な料理だそうです。郷土料理としては、埼玉県 [1]、山形県 [2]、福島県 [3]など、関東圏付近で多く紹介されています。
和歌山県の甘くて美味しい栗を使った栗料理、ぜひご賞味ください。
▶「栗の渋皮煮の作り方」
1.鬼皮をむいた栗を約1kg用意します。
2.水に浸し、重曹を適量加え、火にかけます。
3.沸騰してくると茶色の茹で汁が出るので、中火で約10分煮たら水を取替え、再び火にかます。
落としぶたをして煮ると良いでしょう。
4.色がほとんど出なくなるまで、水を取り替え煮る作業を繰り返します。
5.渋皮の渋味がなくなったら、砂糖(水1Lあたり約500 g)を2~3回に分けて加えながら、弱火
で煮詰めます。
6.最後にみりんを加え、さらに弱火で汁がなくなるまで煮て出来上がりです。
(レシピについては、地域差があります)[1], [2], [3]
▶「皮むきのコツ」
栗料理の材料にする場合、栗の皮はきれいにむきましょう。外側の鬼皮は非常に硬いので、手を痛めないよう適度に休めてくださいね。
1.生栗を熱湯で茹で、半日から一晩水につけます。
2.包丁やキッチンはさみで、栗のおしりから頭に向け、切れ込みを入れます。
3.上手に渋皮は残し、鬼皮だけをむきます。渋皮を傷つけてしまうと煮崩れするので注意。
▶「栗の栄養価」
栗の栄養価は高く、いも類よりも多くのエネルギーを摂ることができます。渋皮には抗酸化作用のあるポリフェノールの一種、タンニンが多く含まれています。栗の可食部100 gあたりのエネルギーは167キロカロリー、さつまいもでは134キロカロリーです [4], [5]。
〜 栗(茹で栗)の成分(可食部100 gあたり)〜
<糖質(炭水化物)> 36.7 g
でんぷん質がほとんどで、体内に入るとエネルギー源のブドウ糖に変化。
<カリウム> 460 mg
細胞内外の浸透圧を調整し、血圧を維持。むくみ防止や高血圧の予防に有効。
<葉酸> 76 mg
ビタミンの一種。新しい赤血球を作るために必要な栄養素。細胞の新生や増殖に必要。
<ビタミンC> 26 mg
抗酸化作用により活性酸素を除去。肌の老化防止や生活習慣病の予防。
[4], [5]
▶「豆知識:栗の渋皮煮とマロングラッセのちがい」
栗の渋皮煮とマロングラッセとの違いは、渋皮のある・なし。大きな違いはそれだけなんです。フランス発祥のマロングラッセとは、栗をシロップに繰り返し漬けて艶を出したお菓子のこと。
【参考文献】
[1]うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_13_saitama.html
[2] 栗の渋皮煮 (山形)
http://gt-yamagata.com/recipe/pdf/26_kurinoshibukawani.pdf
[3] 栗の渋皮煮 (福島)
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/nougyou-hanbai/kanko/bunka/kyodoryori/958/959.html
[4] 栗の魅力を探ってみよう
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1910/spe2_01.html
[5]「日本食品標準成分表2015年版(七訂) > 第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版)>