2023.03.08
みつばちの日に和歌山のはちみつを知る🍯
- 季節のおたより
- 食材テロワール
(写真①:取材に協力してくれた養蜂家さん(右)と梅生産農家さん(左)
(写真②~③:巣箱の様子)
(写真④:ミツバチが運んできた梅の花粉)
(写真⑤:巣箱を出入りするミツバチたち)
3月8日は「みつばちの日」です!各地で蜜蜂供養などのイベントが行われます。
ミツバチといえば、花の蜜を集めてはちみつを作ってくれる昆虫ですね。
果樹王国である和歌山県は、みつばちの群数が全国第4位!有数のはちみつ産地なのです。
今回は和歌山県養蜂協会に所属する養蜂家の西村洸介さんと梅生産農家の栗山大介さんにお話を伺いました。フルーツとミツバチの切っても切れない関係をご紹介します!
1.花粉を運ぶミツバチと梅づくり ~農家と養蜂家双方がWin-Winに!~
果物の実がなるためには、虫などに花粉を運んでもらう必要があることが多いです。
特に梅は「自家不和合性」という、自分の花粉では受精できない性質を持つ品種が多いにも関わらず、梅の花の時期は寒くて飛べる虫が少ないので、ミツバチの助けが必要不可欠!
そこで、2月の花の時期には梅の園地にミツバチの巣箱を出張させています。
「ミツバチの巣箱を置いている周辺は他より梅の実がなりやすく、不作の年も助かっていますね」と栗山さん。
「この時期はちょうど他の花も少ないので、梅の花粉がミツバチの幼虫にとって貴重な栄養源。春からの採蜜に備えてミツバチたちもパワーをためることができます。この時期にこんなに開花が早く、温度も高めでこれだけの面積がある条件がそろう場所は本州では他にありません。養蜂家としても、すごく助かっています」と西村さんも笑顔に。
2.世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」とミツバチの関係
和歌山県の梅栽培の中心地であるみなべ・田辺地域では、梅を生産する農業システムが400年もの間、受け継がれてきました。
この地域では、備長炭の原料である薪炭林を残しつつ、山の斜面に梅の木を植えることで、水や養分を保持・山の土砂崩れ防止の役割を持たせており、梅の花の受粉にはニホンミツバチが利用され、生物多様性を維持しながらも、高品質の梅が生産されてきたというものです。
このシステムは世界農業遺産として、FAO(国際連合食糧農業機関)に認定されています。
今はセイヨウミツバチも積極的に活用しながらですが、長い間、ミツバチの力を借りて、日本一の梅産地が守られ続けてきたのです。
3.養蜂ってこんなに大変!
養蜂家が育てているのは主にセイヨウミツバチと呼ばれる種類。このミツバチたちは人の手をかけて育てないと生きていけません。ミツバチの生態をしっかりと把握していても難しいことも多いです。
ミツバチが飛ぶのは日が出ている間。巣箱を運んで園地を移動させるときは、早朝もしくは夕方から移動、設置する必要があります。長いこと巣箱に閉じ込めておくと、自分の熱で死んでしまうので、素早い作業が必要となります。
4.こんなにおいしい!和歌山のはちみつ
梅の花の時期が終わると、いよいよ春の花が多い季節がやってきて、採蜜が始まります。和歌山で採れるはちみつをご紹介します♪
*みかんのほのかな香りが口いっぱいに広がる「みかん蜜」
その名の通り、みかん畑でミツバチたち集めた蜜から作られたはちみつです。
日本一のみかんの産地である和歌山の有田・下津地域では、一面にみかん畑が広がっており、5月頃にはみかんの花の甘くていい香りが漂います。蜜が混ざらないよう、みかんの花が咲く前には巣箱を掃除して、できるだけ純度の高いみかん蜜が集まるようにする工夫も!
独特の風味と若干の酸味が香り、さっぱりとした甘さが特徴。みかんの産地だからこそ楽しめる味わいをぜひ!!
*複雑な味が楽しめる「百花蜜(ひゃっかみつ)」
いろいろな花の蜜から作られたはちみつです。採蜜される地域によって味や風味が異なります。
例えば、周辺にハゼの木が多い地域だと、ミントのようなすーっとした鼻に抜けるような香りであっさりとした甘さが楽しめるなど、いろいろな味が楽しめます。
はちみつがおいしいのはもちろんですが、フルーツに欠かせないミツバチの存在も知ってもらえたでしょうか?
みなさんもぜひ、いろいろな養蜂家のはちみつを食べ比べて、味の違いを楽しんでくださいね♪